匿名だからこそ生まれた無数のクリエイター


先日クリプトン社からPCLが発表されましたね。


まずPCLが公開されてどうなったのか=「著作権法に基づいて二次創作が正当なものとなった」ですね。
PCL自体の解説についてはピアプロ開発者ブログにて、これでもかというほど詳細な解説とFAQが掲載されているのでそちらをお読みください。


クリプトン社の今回の動きにより非営利の場合、二次創作につきものだったグレーゾーンが実にホワイトになりました。
しかし依然としてVOCALOIDを使用し金銭を対価として作品を生み出すことには困難が伴います。

それについてTristan_Tristan氏が非常に興味深い発言をしておられたので
それをtsuda氏がまとめたポストをUGC・特にVOCALOID関連にスポットを絞って要約してみます。

金銭でなく賞賛だけを対価にして作品を生む無名のクリエイターは、匿名だからこそ大量に生まれた面がある。


UGC(User-Generated Content)の作り手の多くは既存コンテンツのカバーや模倣から始めます。
初音ミクもごく初期の段階は既存曲のカバーから始まりました。
当時ニコニコ動画JASRAC等と契約しておらず、これも違法行為でした。やはり匿名でないと支障があったわけです。

さらに「量的変化が質的変化を引き起こす」現象が起きるためにも敷居は低い方がいい。必然的に匿名容認になります。

匿名が必要な理由はもう一つあります。
それは脅迫・粘着対策で、こちらの方がより深刻かつ切実です。
人気のある作者の中には、一種のネットストーカーに悩まされている/悩まされた人が複数います(脅迫・粘着が理由で発表をやめた人もいます)。
匿名が容認されることは自己防衛上必須といえます。


このように匿名だからこそ無数にクリエイターが誕生した経歴があるのですが、匿名で対価を受け取るということは現時点では困難が伴います。
しかしネットストーカーの存在もあり、容易に名前を公表するのには多大な危険もあります。


小難しいことを考えずに大多数のユーザーが望むものは「カラオケ配信など営利目的の場合はその対価をクリエイターに支払い、個人や非営利で二次創作を楽しむ場合は無料」ではないでしょうか。

日本のウェブの重要な課題は、この「出る杭を打つ」現象だと考えています。
日本的土壌そのものですが、それが日本のUGCの未来を殺すかもしれません。ウェブは才能ある人が世に出る強力なツールですが、それを潰す輩も同様に浮上させてしまう。
その点でウェブは、むごいほどにフラットです。

VOCALOID曲を利用した非営利のオンラインゲームを運営、というあまり前例がないことをやっていますのでPCLやクリプトン社の見解、著作権等は精読しています。
Typenist運営方針はユーザーの皆様に一番楽しんでもらえることですので、一度JASRAC関連でいろいろとやってみたいと思っています。